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  • 最期の晩餐

    宗教画の中でも「受胎告知」や「キリストの磔刑」と並んで描かれることが多いのが「最後の晩餐」です。
    聖書には細かい記述はないので画家たちのインスピレーションによって描かれていますが、最低限の約束事はあります。
    食卓を囲むのは13人、キリストと12人の使徒です。どの絵でもキリストとユダが分かるように描かれています。この席でキリストが「この中に私を裏切ろうとしている人がいる」とユダの裏切りを予告し、翌日、ユダの手引きによりキリストが磔刑に処されたというのが聖書に書かれた「最後の晩餐」の重要な要素です。

    ルネッサンスに先駆けて14世紀にイタリアで活躍したジョットの「最後の晩餐」ではユダだけ光輪が描かれていません。
    最後の晩餐②


    ドメニコ・ギルランダイオ(ルネッサンス期の画家)の「最後の晩餐」ではイエスを中心に横一列に並んでいるなか、ユダだけが机の反対側に座っています。
    最後の晩餐

    最も有名な「最後の晩餐」はレオナルド・ダ・ビンチのこの作品でしょう。
    最後の晩餐
    「この中の一人が私を裏切るだろう」とキリストが言った瞬間の12人の弟子たちのリアクションが描かれています。
    驚きの表情を見せる弟子、自らの無罪を訴えかけるような仕草をする弟子、思わず体を乗り出す弟子に混じって、警戒心からか身構えるようなポーズを取っているのがユダです。
    右手にはキリストを売り渡す報酬として受け取ったお金が入った袋を握り締めています。
    ユダを特定させるのに、一人だけ光輪を描かなかったり、机の前に座らせたりという分かり易い方法を用いなかったところにダビンチの力量を感じます。
    この絵は修道院の食堂の壁に描かれたものです。修道士たちは食事のたびにキリストと最後の晩餐をともにしているような厳粛な気持ちになったことでしょう。

    この場面ではユダの裏切りが注目されますが、実際にはキリストのことを知らないと3回も繰り返した「ペトロの否認」を始めとして、身体を張ってでもキリストを守ろうとした弟子がいなかったという意味では、ユダだけがキリストを裏切ったわけではありません。
    積極、消極の差はあれ、全ての弟子たちがキリストを裏切ったのです。そしてキリストはそれを前もって知っていながら、彼らを愛し、人間の原罪を贖うために十字架にかけられるという運命を受け入れました。

    それどころか、自分を磔刑に処した人たちにも赦しが施されることを祈ったのです。
    どこまでも深いキリストの愛です。

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