2012-12-10(Mon)

名画と読むイエス・キリストの物語(中野京子)

読み始めていきなり、ヨセフに対する言及が面白いというか、共感するというか・・・。
ヨセフ、昔から気になってはいたんです。結婚する前に婚約者のマリアは身ごもってしまうし、それが神の子だと言うし。自分だったらやってられないですね、多分^^;
中身はもっと名画の解説寄りかと思っていましたが、名画目線でしっかりと聖書の話が書かれています。

名画と読むイエス・キリストの物語名画と読むイエス・キリストの物語
(2012/08/23)
中野 京子

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表紙の絵はベラスケスの「キリストの磔刑」です。
「西洋における最多の図像といえば、キリスト教の中心概念を示す磔刑図だ。中でもベラスケスの本作品は最も美しいイエス像と言われる。」(本書解説より)
暗闇の中で輝きを放つイエスの肉体。美しくも神々しいイエスが描かれています。

僕は中学高校とカトリック系の学校に通っていたので聖書の話は一通り知っているつもりでしたが、本書を読んで、初めて知ること(忘れてるだけ?)や思い違いしていたことなどの発見もありました。
新約聖書は基本的に四つ福音書から成っており、それぞれの内容は必ずしも一致していないので、どっちも正解!ということもあり得るのかもしれませんが。。。

意外だったのは、最後の晩餐を終えたイエスが迫り来る運命を目の前にして、神に助けを求めるシーンです。
人間的な弱さを曝け出すイエスに対する神の答えは沈黙でした。神は何も答えなかったのです。
この場面は僕の記憶からすっぽりと抜けていました。イエスは最初から神の意思を静かに受け入れたように記憶していたのです。

ここで思い出されるのは遠藤周作の「沈黙」です。日本のキリスト教文学の最高峰ですね。
この小説の大きな主題は神の沈黙をどう捉えるかにあります。
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「神様が本当に存在するならなぜ黙っているんだろう」と思わざるを得ないような悲惨な事件は地球上に存在し続けています。例えば、生まれてから死ぬまで両親に虐待され続けて終った短い人生。 彼らの人生にも神は愛と救いを施したのでしょうか?
キリスト教的な神の存在を確信できるのならば、全てを神に委ねることは難しいことではありません。
本当に神は存在するのか?存在するなら何故こんなことが起きるのか?なぜ神は黙っているのか?
それをどう考えるかで信仰の道に入っていくか否かが分かれるように思います。(クリスチャンでない僕の個人的な考えです)

いずれにせよ「神の実在」ということを考えたことのある人にとってこのテーマは目新しいものではないでしょう。
個人的にはこの小説のすごさはその主題ではなく遠藤周作氏の圧倒的な筆力にあるのだと思います。文章に引き込まれ、一気にクライマックスまで読ませます。中々迫力のある小説です。って、、、今日はこの本の紹介ではなかったですね^^、

さて、話を戻します。神の沈黙に対してイエスの反応は本書によるとこうです。
「ついにイエスは言った、『我が意の儘にとにはあらず、御心のままに為した給へ』。
受難を忌避したがるこの心は狭き小さな人間としての部分が感じるものでしかないのだから、全ては神にお任せいたしましょう、と。」
この辺りが凡人とは違うところです。って当たり前ですね、神の子ですから^^;

おはなし名画の「マリアさまの生涯」は子どもでも理解できるような優しい文章で名画とともにマリアさまの生涯を辿っています。
「名画と読むイエス・キリストの物語」が専門的で大人向け、おはなし名画シリーズの「マリアさまの生涯」は子どもでも楽しめる入門書といったところです。

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