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  • 眩(くらら) ~北斎の娘 NHK特集ドラマ

    宮崎あおいさん主演ドラマ「眩(くらら)」が放映されました。
    直木賞作家の朝井まかて氏が北斎の娘「お栄」の半生にスポットを当てた小説「眩」が原作です。



    「おはなし名画シリーズ」の「葛飾北斎」でもお栄について触れられていて、画号「応為(おうい)」の由来などを北斎爺さんが語っています。ご興味があれば是非ご覧ください。
    北斎爺さん曰く「美人画を描かせたらわしよりうまいかもしれん」とのことです。

    応為

    はたして天才、北斎の娘に生まれたことは幸せだったのか、不幸だったのか。
    みなさんはどう思いますか?

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    私はフェルメール 20世紀最大の贋作事件

    絵画の真贋鑑定にまつわるミステリー「楽園のカンヴァス」に続き、美術史上最悪の贋作事件を扱った「私はフェルメール」を読みました。
    「人と絵との出会い」は「人と人との出会い」に喩えられます。
    話してみたらなんとなく気が合ったり、一緒にいて楽しいので仲良くなる。恋人であれば一目惚れということもあります。そして深い仲になるにつれ、相手のことをもっと知りたくなる。
    絵との出合いも同じです。第一印象で恋に堕ちることもあれば、何故だか気になる題名も知らなかった絵と気付いたら大の仲良しになっていたり、、、

    話がこんな風に美しく終われば贋作問題などは起きないのでしょう。
    美術の世界では真作か贋作かで扱いが天と地ほど変わります。高価な額で売買され、一流の美術館に飾られていた絵画も、贋作と判定されるとその価値は半減します。ゴミ同然になることもあります。
    絵は何もしゃべらず、ただそこにあるだけなのに。
    美術界は人間社会の縮図です。専門家と言われる人は大事なものが見えない頭でっかち。その判断に多くの人は惑わされ、自分で判断することすらできなくなっている。それがどういう絵なのかより、権威のお墨付きや誰が描いたのかなどのバックボーンの方ががずっと大切。
    そんな彼らをほくそ笑みながら眺めている贋作者も、内心、いつばれるかとひやひやしています。ばれるのは専門家の見識眼によってではなく、大抵はちょっとした事務ミスや科学調査によってですが。

    でも、確実に純愛もある。美しい花も咲いているのです!
    贋作と分かっても「絵に愛着があるので本物かどうかはどうでもいい」と言って絵を手放さないコレクターもいます。
    美術館で無心に絵を心を通わしている子どもたちもいます。
    それを忘れると暗い気持ちになってしまいます。

    最後に本書中で「そうだよね」と思った言葉を二つ。
    「子どもは皆、芸術家である。問題は大人になってからもいかにして芸術家であり続けるかだ」(パブロ・ピカソ)
    「我々は見抜かれてしまう出来の悪い贋作についてしか語れない。出来の良い贋作は今なお壁に掛っているのだから」(テオドール・ルソー)
    私はフェルメール 20世紀最大の贋作事件私はフェルメール 20世紀最大の贋作事件
    (2007/09/06)
    フランク・ウイン

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    楽園のカンヴァス(原田マハ)

    「手に汗にぎる絵画鑑定ミステリー」と銘打っていますが、ミステリーを装った作者のアンリ・ルソーへの熱烈なラブレターです。


    二人の若き研究者や伝説的コレクター、さらにはピカソ、ルソーの傑作「夢」のモデルの女性まで使い、ルソーへの迸る想いをぶちまけています。その愛の前では本書の登場人物たちのキャラクターはおろか、ストーリー展開すら霞んでしまいます。
    それ故に不満に思う人もいるかもしれませんが、僕は本書に貫かれた作者の愛に圧倒され、最後まで一気に読んでしまいました。
    一枚の絵の真贋判定を迫られる若い男女の研究者の闘い、その判定の資料となる謎の古書から伝わってくるルソーの素顔に愛着を覚え、作者の大胆な仮説に息を飲みました。

    作者の思いは細部にも宿っています。
    闘いの最中、あるきっかけで二人は動物園に行き、語り合います。
    美術館とは芸術家たちが表現し生み出してきた「奇跡」が集積する場所。動物園や植物園は芸術家たちが表現の対象としてみつめ続けたこの世界の「奇跡」が集まるところ。
    アートを理解するということは、この世界を理解するということ。アートを愛するということは、この世界を愛するということ。
    この日を境に二人の関係はそれまでとは違ったものになっていきます。

    この記念すべきデートの場面となった動物園はルソーが世界で一番好きな場所でもあります。
    ルソーはあるとき友達に言いました。
    「動物や植物を見ているとき僕はまるで夢の中に入っていくような気がするんだ」
    アンリ・ルソー
    (異国風景)

    読後感は爽快で、おはなし名画を手に、ゆっくりとルソーの作品を眺めながらルソーの人生に思いを馳せました。
    絵画好きには堪らない作品です。あるいは本書をきっかけに絵画好きになる人もいるかもしれませんね。

    「おはなし名画シリーズ」の「アンリ・ルソーとシャガール」

    名画と読むイエス・キリストの物語(中野京子)

    読み始めていきなり、ヨセフに対する言及が面白いというか、共感するというか・・・。
    ヨセフ、昔から気になってはいたんです。結婚する前に婚約者のマリアは身ごもってしまうし、それが神の子だと言うし。自分だったらやってられないですね、多分^^;
    中身はもっと名画の解説寄りかと思っていましたが、名画目線でしっかりと聖書の話が書かれています。

    名画と読むイエス・キリストの物語名画と読むイエス・キリストの物語
    (2012/08/23)
    中野 京子

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    表紙の絵はベラスケスの「キリストの磔刑」です。
    「西洋における最多の図像といえば、キリスト教の中心概念を示す磔刑図だ。中でもベラスケスの本作品は最も美しいイエス像と言われる。」(本書解説より)
    暗闇の中で輝きを放つイエスの肉体。美しくも神々しいイエスが描かれています。

    僕は中学高校とカトリック系の学校に通っていたので聖書の話は一通り知っているつもりでしたが、本書を読んで、初めて知ること(忘れてるだけ?)や思い違いしていたことなどの発見もありました。
    新約聖書は基本的に四つ福音書から成っており、それぞれの内容は必ずしも一致していないので、どっちも正解!ということもあり得るのかもしれませんが。。。

    意外だったのは、最後の晩餐を終えたイエスが迫り来る運命を目の前にして、神に助けを求めるシーンです。
    人間的な弱さを曝け出すイエスに対する神の答えは沈黙でした。神は何も答えなかったのです。
    この場面は僕の記憶からすっぽりと抜けていました。イエスは最初から神の意思を静かに受け入れたように記憶していたのです。

    ここで思い出されるのは遠藤周作の「沈黙」です。日本のキリスト教文学の最高峰ですね。
    この小説の大きな主題は神の沈黙をどう捉えるかにあります。
    沈黙 (新潮文庫)沈黙 (新潮文庫)(1981/10)遠藤 周作商品詳細を見る

    「神様が本当に存在するならなぜ黙っているんだろう」と思わざるを得ないような悲惨な事件は地球上に存在し続けています。例えば、生まれてから死ぬまで両親に虐待され続けて終った短い人生。 彼らの人生にも神は愛と救いを施したのでしょうか?
    キリスト教的な神の存在を確信できるのならば、全てを神に委ねることは難しいことではありません。
    本当に神は存在するのか?存在するなら何故こんなことが起きるのか?なぜ神は黙っているのか?
    それをどう考えるかで信仰の道に入っていくか否かが分かれるように思います。(クリスチャンでない僕の個人的な考えです)

    いずれにせよ「神の実在」ということを考えたことのある人にとってこのテーマは目新しいものではないでしょう。
    個人的にはこの小説のすごさはその主題ではなく遠藤周作氏の圧倒的な筆力にあるのだと思います。文章に引き込まれ、一気にクライマックスまで読ませます。中々迫力のある小説です。って、、、今日はこの本の紹介ではなかったですね^^、

    さて、話を戻します。神の沈黙に対してイエスの反応は本書によるとこうです。
    「ついにイエスは言った、『我が意の儘にとにはあらず、御心のままに為した給へ』。
    受難を忌避したがるこの心は狭き小さな人間としての部分が感じるものでしかないのだから、全ては神にお任せいたしましょう、と。」
    この辺りが凡人とは違うところです。って当たり前ですね、神の子ですから^^;

    おはなし名画の「マリアさまの生涯」は子どもでも理解できるような優しい文章で名画とともにマリアさまの生涯を辿っています。
    「名画と読むイエス・キリストの物語」が専門的で大人向け、おはなし名画シリーズの「マリアさまの生涯」は子どもでも楽しめる入門書といったところです。

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    印象派という革命(木村泰司)

    マネという画家について少し深く知ることができたのがこの本を読んだ一番の収穫です。
    当時としてはスキャンダラスな絵を描き、美術アカデミーを始めとする権威たちから激しい非難や嘲笑を受け、逆に若い印象派画家たちから慕われたマネ。
    彼らの指導者的立場にありながら印象派展への出展を頑として拒否し、アカデミーが主催するサロンに出展し続けた理由も理解できました。

    印象派は単なる流行のムーブメントではなく革命だった。そこには権威からの激しい弾圧、非難、嘲笑があり、画家の人間的葛藤があり、経済的困窮もあった。そして何より、時代の要請があった。
    幕末の日本に明治維新が起きたように、19世紀後半のフランスを中心とする美術界に印象派という革命が起きた。それは歴史の必然だったのだ。

    マネは印象派には属さなかったが、この時代の印象派の成り立ちを理解するには欠かせない存在であることを知りました。これまで、一部を除きあまり興味を持てなかったマネの作品をもう一度ゆっくり観てみたいという気にさせられました。
    印象派という革命印象派という革命
    (2012/01/26)
    木村 泰司

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    そのほか、美術アカデミーの成り立ちから印象派までの時代の流れ(古典主義、ロココ絵画、新古典主義、ロマン主義、バルビゾン派等)やモネ、ルノワール、ドガ、モリゾ、カサットなどについても詳しく書かれています。
    随所に重複した解説があり、少し読みにくいのが難ですが、印象派や個々の画家について深く知るには良い本だと思います。

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    名画はあそんでくれる(結城昌子)

    カツラが飛んでしまった~
    ムンク

    結城昌子さんが小学生向け新聞紙上の「ムンクに挑戦!」というコーナーで「何を叫ぶ?」と問いかけたところ一番多かった叫びだそうです。

    名画はあそんでくれる名画はあそんでくれる
    (2008/03)
    結城 昌子

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    「一番面白い」ではなく「一番多い」というのがすごいです!
    深遠で哲学的な苦悩より「髪が薄くなってきた」「下腹が出てきた」というような身体的で直接的な悩みのほうが切実だったりしますよね。おじさんはそう思います。
    子どもの自由な発想は時に真実を抉ります。

    (ウィキペディアより)
    幼少期に母親を亡くし、思春期に姉の死を迎えるなど病気や死と直面せざるを得なかった1890年代のムンクが、「愛」と「死」とそれらがもたらす「不安」をテーマとして制作し、「フリーズ・オブ・ライフ(生命のフリーズ)」と称した作品群のうちの一作であり、『叫び』はその中でも最も有名な作品である。

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    FBのおはなし名画ページ
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